アドリブプレイヤーのためのミュージシャンリスト#6
Lester Young レスターヤング
Billie Holiday and Lester Young - Fine and Mellow(YouTube)
どっぷりとブルースがはじまります。
ロックファンは、このジャズ特有の夜のムードがひっかかるかもしれませんが、差し引いて聞いてみてください。
ジャズ界の親分連中が集まっていますが。このなかで特にレスターヤングのソロと、ビリーホリデイのリアクションが印象的です。
レスターヤングのアドリブは、ジャズのスケールとかを抜きにすれば、どんなジャンルのアドリブプレイヤーにも参考にできる要素を持っていると思います。
二人目のテナーサックスがレスターヤングです。
まず最初のフレーズがでるタイミングを聞いてください。このフレーズの前に3連符が一拍あったらごく普通のソロです。
ただ、これを省くだけで、この後のフレーズのつながりの規則が、大きな振幅のノリになってきます。
前の人のソロで、細かいフレーズのノリになっていたのをテーマのノリに揺り戻しています。
次に、ゆったりと同フレーズのフェイクが続いて、4小節目で普通の8分音符ノリの最後だけシンコペーションで5小節目に入りますが、そういうことを感じさせない流れるようなつながりです。
で、この後です。
6小節目は音がなかなか出てこないのです。
いつまで休むんだと思ったら、おもいきりねばって音ふたつだけ先行して、7小節目からなにやらしゃべっているようなフレーズがきまります。(くわしい人によると、レスターヤングはアドリブでいつもなにかをしゃべっているそうです)
最後のねばった単音の連続はブルースではおなじみで、ロックもブルースもジャズもあまり垣根はないようです。
しかしこういう細かいことは聞いている方の理屈で、ご本人はこれをほとんど習慣のように意識せずにやっているようで
ブルースの流れにのってゆったりと泳いでいるような感じです。
(そして、何か話しをしているらしいのですが、まさかビリーホリデイはレスターヤングの言っていることがわかって、あんな表情なんでしょうか)
2009年7月3日金曜日